以前、DELLの31.5型4Kモニター「U3223QE」が3年で点滅した話を書きました。その続報です。
結論から言うと、モニターは寿命でした。ただ、その過程でファームウェアが2世代遅れていたことに気づいたり、32インチをまったく使い切れていなかったことに気づいたりして、最終的には「モニターを買い足す必要がなくなった」という着地になりました。
LCDコンディショニングは何分回せばいいのか
前回「1時間ほど放置してから手動で止めた」と書きましたが、そもそも何分が正解なのか。調べたところ、公式に決まった時間はありません。Dellのコミュニティでの説明でも、LCDコンディショニングはタイムアウトが無く、見た目が満足いく状態になったら自分で止めるタイプの機能とされています。
実際、私の体感でもこうでした。
- 5分:ほぼ変化なし
- 30分:少し改善
- 45分:色残りが完全に消えた
重い残像だと5〜6回まわしてやっと消えたという報告もあるようで、連続でぶん回すより、1〜2時間で一度止めて効果を見る、というのを何セットか繰り返すほうがいいらしいです。
ただし、これで消えるのは色残り(残像)だけでした。点滅のほうは別の話です。
ファームウェアが2世代遅れていた
ここが今回一番の発見でした。
モニターのジョイスティックを押して「その他」を見ると、ファームウェアのバージョンが確認できます。私のU3223QEは M3T101 でした。
そして調べてみると、この後に出ているM3T103の修正内容が、まさに「点滅とシステム遅延の問題の解決」。さらにその後にM3T105も出ています。つまり点滅の修正が入っている世代を、まるごと飛ばしていたわけです。最終的にM3T101からM3T105まで、2世代分を一気に上げることになりました。
「ハイエンドなのに壊れた」と嘆く前に、まずここを見るべきでした。買ってから一度もファームウェアなんて気にしたことがなかった。
Macからファームウェアを更新する
Dellのサイトで見つかるファームウェア更新パッケージはWindows用の.exeで、公式の手順書でも「手動更新はWindows専用」と明記されています。MacBook Air一台で生きている身としては絶望的に見えるのですが、Macからでも更新できます。
DDPM(Dell Display and Peripheral Manager)のMac版を使う方法です。Apple Silicon搭載のMacBook Air、Mac mini、Mac Proに対応しています。
手順は以下の通り。
- モニターのOSD「その他」でDDC/CIをオンにする(オフだとDDPMがモニターを認識しません)
- 現在のファームウェアバージョンを控えておく
- USB-CでMacとモニターを直結する。ドックやハブは挟まない
- 他のモニターは一旦外す。更新するのは1台だけ
- システム設定 → バッテリーでMacのスリープをオフ
- ミラーリングではなく拡張ディスプレイにする
- DDPMを起動 → 設定(歯車)→ 「最新情報」タブ → 「更新プログラムを確認する」
所要時間は15〜30分。終盤で画面が一瞬真っ暗になりますが正常な挙動です。更新中にUSB-Cを抜いたりモニターの電源を切ったりは厳禁。
ここで一度ハマった
「更新できるものはありません」と表示されて、一瞬諦めかけました。
でもこれ、見ていたのがDDPMアプリ自身のアップデート欄だったんですね。その枠内をさらに下にスクロールすると、接続中のモニターごとのファームウェア項目が別に出てきます。わかりにくい。同じ「アップデート」の画面に、アプリの更新とモニターの更新が縦に並んでいるUIです。
同じところで詰まる人がいそうなので書いておきます。スクロールしてください。
余談:Qisda Corp という見知らぬ会社
DDPMを入れた直後、macOSから「Qisda Corporation がバックグラウンドで実行されています」という通知が出ました。一瞬ぎょっとしましたが、これはDDPM本体です。
DellはDDPMのmacOS版の開発を台湾のQisdaに委託していて、アプリの識別子自体が Qisda.DDPM になっています。QisdaはBenQの親会社にあたる会社で、Dellのモニター製造も請け負っています。マルウェアではないので安心してください。
それでも点滅は再発した
ファームウェアを当てて、しばらくは快調でした。が、同日中に再発。
ここで内蔵セルフテストをやりました。映像ケーブルを全部抜いて電源だけ入れると、Dellのロゴ枠が漂う画面が出ます。この状態はモニター単体で完結しているので、ここで点滅すればMac・ケーブル・信号は全部シロ、モニター本体の故障確定です。
見事に点滅しました。
というわけで、パネルか電源基板側の問題で確定。ソフトウェアで直せる範囲を完全に出ました。一度交換していて保証も切れているので、買い替え確定です。
3年で壊れるのは異常なのか
調べていて納得したのですが、Dellが想定しているパネルの稼働率は1日12時間・週7日です。これを超えると輝度低下が早まる可能性があり、保証対象外になることもあると明記されています。
フルリモートで朝から晩まで点けっぱなしにしていたので、普通に超えています。「10万円のくせに3年で壊れた」ではなく、「設計想定を超えて使った結果3年だった」が正しい理解でした。次に買う1台も、同じ使い方なら同じくらいで来ると見ておくべきです。
本題:32インチを使い切れていなかった
さて、ここからが今回の一番の収穫です。
買い替えを検討するにあたって、「いっそ27インチ2枚にするか」「小さいのを3枚並べるほうが性に合うのでは」と考えていました。私は全画面表示派で、縦置きのPhilipsにターミナルを全画面、メインの32インチにも全画面、という使い方をしていたからです。
で、デスクの写真を撮って眺めていて気づきました。
32インチの左右が、壁紙のまま余っている。
中央にFirefoxやSlackを置いて、その左右3割くらいが完全に死んでいる。10万円出して買った31.5インチを、実質24インチとして使っていたわけです。
MacはWindowsのスナップに比べて画面分割が苦手、という思い込みもありました。でもこれ、今は違います。
- macOS標準のタイル表示:Sequoia以降、ウインドウを画面端にドラッグするとスナップします。Optionキーを押しながらドラッグすると端まで運ばなくても枠が出ます
- DDPMのEasy Arrange:画面を任意のゾーンに区切って、ドラッグするとそのゾーンに吸い付く機能。カスタムレイアウトも作れます
ファームウェア更新のために入れたDDPMに、探していた機能がそのまま入っていました。
カスタムレイアウトを作って、こうなりました。
- 中央:Firefox、Slack、Mac側のターミナル
- 中央左:LINE、ダウンロードフォルダ、Meet
- 中央右:お客様用のClaude Codeアプリ
- 右(Philips縦置き):これまで通りターミナル全画面
体感としてはディスプレイが4枚増えた気分です。今までこれを使ってこなかった自分を呪いたい。
Easy Arrangeのカスタムはクセがある
ひとつ注意点として、カスタムレイアウトは「今開いているウインドウの配置を元にゾーンを定義する」方式です。なので、先にウインドウをきっちり並べてから保存しないと、ゾーンの間に微妙な隙間ができます。作る前にウインドウ側を詰めておくのがコツ。
あと、macOS標準のタイル表示とEasy Arrangeは機能が丸かぶりしていて、両方オンだと競合します。どちらかに寄せたほうがいいです。
なお、Easy ArrangeはDELLのモニターにしかゾーンを設定できません。メーカーに依存しない同種のツールとしては、無料でFancyZones相当のことができるMacsyZonesや、任意の矩形をスナップ先にできるBetterSnapTool(3ドル程度)があります。次がDELL以外になる可能性を考えると、こちらに移しておくほうが賢いかもしれません。
結論:買い替えるが、枚数は増やさない
当初は「MacBook ProならDisplayが3枚いけるから買い替えか」とまで考えていました。ちなみに調べたところ、外部3枚が必要なら無印のM5では足りずM5 Proが要ります。無印だと外部2枚+内蔵という構成になるので、クラムシェル運用の人が期待する「3枚目」にはなりません。
でも、Easy Arrangeで32インチを使い切ったら、その検討ごと消えました。
- モニターの買い足し:不要
- MacBook Proへの買い替え:不要
- DisplayLinkドック:不要
壊れたU3223QEの置き換えとして、32インチ4Kを1枚買うだけ。それで今より快適な環境になります。
次に買うモニターの条件も、この過程で固まりました。31.5型4K、USB-C給電(90W前後)、そして保証期間の長さ。3年前後で壊れる使い方をしている自覚がある以上、ここが一番効く投資先です。前回は保証切れの直後に壊れて泣きを見たので。
具体的な機種選びはまた別の記事で。
今回の教訓
- モニターの調子が悪いと思ったら、まずファームウェアのバージョンを見る
- Macからでも更新できる。ただしDDPMの画面はスクロールしないと見つからない
- 自己診断(内蔵セルフテスト)をやれば、モニター本体の問題かどうか一発でわかる
- モニターを買い足す前に、今あるモニターを本当に使い切っているか確認する