8月の車です。エアコンを最強にして、顔も腕も涼しい。なのに一箇所だけどうにもならない場所がある。
尻とシートの間です。
冷たい空気は上から降りてくるけれど、体重で密着している面には絶対に届かない。降りるときにシートが湿っているあの感触、伝わる人には伝わると思います。
メッシュカバーは6月までの道具だった
対策として、ずっとメッシュのシートカバーを敷いていました。座面との間に隙間を作って空気を通す、というやつです。
これが6月くらいまでは効くんですが、8月に入ると完全に無力になります。理由は単純で、あれは「空間を作るだけ」の道具だから。空気が動かなければ、その空間はすぐに自分の体温で温まった空気で満たされて終わりです。
必要なのは隙間じゃなくて、風でした。
「クールシート」というジャンルがある
調べてみると、座面の中にファンを仕込んで、表面の穴から風を吹き出させる製品がちゃんと存在していました。「クールシート」「シートクーラー」「送風シートクッション」あたりの名前で呼ばれているジャンルです。
ただ、ここからが長かった。
USB給電にこだわって詰みかけた
最初はUSB給電のものを探していました。手軽だし、車以外でも使えるし、と。
これが間違いでした。
USB給電の製品は5V駆動なので、消費電力がだいたい2.5〜6Wしかありません。実際に使った人のレビューを追っていくと、判で押したように同じことが書いてあります。
- 「ファンの音はするのに風が来ない」
- 「音はそれなりにうるさいのに、その割に冷えない」
- ある実機レビューでは、最大風量でも「ティッシュがゆらゆら揺れる程度」
さらに、良さそうだと思った製品が廃番になっていたり、新製品は発売直後で在庫がなかったり。USB縛りのまま探し続けていたら、たぶん今年の夏は諦めていました。
シガーソケットは既に埋まっていた
USBを諦めて12Vを見に行くと、消費電力が一桁変わります。12V製品は12〜25W。USB勢の4倍から10倍です。物理的に勝負になっていません。
ただ、うちのジムニーはシガーソケットが専用アームレストで埋まっていました。ここで詰んだと思ったんですが、調べたらあっさり解決しました。
シガーソケットは分配器で分岐できます。
「シガーソケット分配器」「2連ソケット」といった名前で、1,000円前後で普通に売っています。容量の計算だけしておけば問題ありません。車両側のアクセサリーソケットは12V/10A=120Wが標準的な上限で、25Wの機器なら全体の2割程度。余裕です。
コードタイプの分配器を選べば、ソケット本体を好きな位置に転がしておけるので、アームレストとの干渉も避けられます。
これで12Vが解禁されました。
買ったもの:日本ボデーパーツ工業 BP-K007
最終的に選んだのがこれです。
Wファンクールクッション 座面タイプ BP-K007
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 電源 | DC12V/24V、12V時 3A・25W(MAX) |
| ファン | 2基、風量3段階 |
| サイズ | 約 H480 × W500 × D35mm |
| 重量 | 約900g |
| 構造 | 3Dスノコ構造+メッシュ表皮 |
| 安全機能 | 約2時間で自動停止 |
| 滑り止め | シリコンゴム加工あり |
| 保証 | 1年 |
| 実売 | 5,000円前後 |
日本ボデーパーツ工業は、フォークリフトや商用車の内装部品を作っている会社です。カー用品店の棚ではなく、トラック用品店のルートで流通しています。だから探しても出てこなかった。長距離ドライバー向けの業務用ジャンルを見に行って、ようやく見つかりました。
厚み35mmというのが個人的に決め手でした。ジムニー系はもともと着座位置が高くてヘッドクリアランスに余裕がないので、分厚いクッションを敷くと視線が上がって運転しづらくなります。この手の製品には厚み55mmとか75mmのものもあって、そのクラスだと明確に運転姿勢が変わります。35mmなら実質1.5〜2cm程度の嵩上げで済みます。
使ってみた結果:涼しすぎる
結論から言うと、涼しすぎます。
比喩ではなく、快適すぎて眠くなる程度には涼しい。正直、家の中にいるより車の中のほうが快適でした。
種明かしは単純で、この手のファン式は「冷やす」装置ではなく「エアコンの冷気を強制的に尻の下に送り込む」装置なんですね。だから、冷房が効いている車内でこそ本領を発揮します。逆に言うと、乗り込んだ直後の灼熱の車内では生ぬるい風が来るだけです。エアコンが効いてきてからが本番。
そういう意味では、USB勢が炎上していた「風が来ない」という評価は、25Wの製品では起きませんでした。数字は正直です。
ケツがでかい人への注意
ひとつだけ実用上の発見があって、書いておきます。
尻がでかいと、縁のあたりが湿ります。
風の吹き出し口の配置に対して座面が広く覆われすぎると、外周部で空気が抜けきらないみたいです。最初に座ったとき、中心は完璧に乾いているのに縁だけ湿っている、という妙な状態になりました。
ただこれは座り方を少し変えたら解決しました。深く座りすぎず、位置を数センチ調整するだけで全然違います。買ってから気づく類のことなので、最初の数回は座り位置を探ってみてください。
次の課題:背中
そして尻が完全に解決した結果、新しい問題に気づきました。
背中が蒸れている。
今まで尻の不快感が大きすぎて意識に上っていなかっただけで、背中も普通に汗をかいていたわけです。背もたれから背中を浮かせていれば快適なんですが、当然ずっとそんな姿勢ではいられません。
背もたれ一体型のクールシートというジャンルも存在するので、来年はそっちを検討することになりそうです。ただ、一体型は乗り降りのたびにズレるという評判もあるので、悩ましいところ。
まとめ
- 真夏の尻の蒸れに、メッシュカバーは効かない。必要なのは隙間ではなく風
- USB給電(5V/2.5〜6W)では風量が足りない。ここは妥協しないほうがいい
- シガーソケットが埋まっていても、分配器で分岐すれば12Vが使える
- 座面のみ・12V・薄型という条件だと、選択肢は驚くほど少ない
- BP-K007は5,000円前後。夏の快適さの投資対効果としては、かなり上位に来る買い物でした
尻が湿ったまま運転している人、一度試してみる価値はあります。