Claude Code のクラウドセッションが、2026年9月24日にリサーチプレビューを終えて正式版になりました。あわせて、Pro と Max の契約者に一回限りのクレジットが配られています。Pro は100ドル、Max は250ドルです。
私は Max なので250ドル分です。受け取りの締切は10月7日、失効は11月4日(どちらも太平洋時間の23:59)。せっかくなので少し試してみたのですが、私の使い方では使い物になりませんでした。その理由を書いておきます。
クラウドセッションとクレジットの中身
クラウドセッションは、手元の PC ではなく Anthropic 側の VM で Claude Code を動かす仕組みです。GitHub と連携しておくと、VM がリポジトリを clone して作業し、ブランチに push してくれます。PC を閉じても作業は続き、あとで結果を見に行けます。
クレジットについて、公式のサポート記事で押さえておきたいのは次の点です。
- クレジットが残っている間、クラウドセッションの利用はクレジットから払われ、プランの利用上限に数えられない
- 手元で動かす Claude Code、Projects、Routines、Remote Control、チャット、Cowork には使えない
- 使い切ったあとのクラウドセッションは、普通にプランの上限から引かれる
できることは手元と変わらない
最初に整理して分かったのは、クラウドでできることは、手元の Claude Code でも全部できるということでした。
違うのは機能ではなく、お金の出どころです。手元で動かせば週の利用枠を消費し、クラウドで動かせばクレジットが残っている間は枠を消費しない。つまりこのクレジットは、11月4日まで使える別の財布です。
私は自宅に Claude Code 専用の開発機を置いて、ほぼ常時動かしています。環境が欲しいわけではないので、枠が浮くならその分を回そう、くらいの気持ちで試しました。
私の使い方はリポジトリ1つで閉じていない
触ってすぐ、これは合わないと分かりました。クラウドが悪いのではなく、使い方の前提が違いました。
プロジェクトを横断して見てもらっている
私は十数個のサービスをそれぞれ別のリポジトリで持っていて、それを親フォルダにまとめて Claude に渡しています。Claude には全体を俯瞰してもらい、あるサイトで直した不具合を他のサイトにも横展開する、全サイト共通の方針で一斉に点検する、といった仕事を頼んでいます。
「存在しない URL はすべて 410 を返す」「アクセス解析のタグは本番のホスト名のときだけ出す」のような方針は、1つのサイトで決めたら全部のサイトに揃えないと意味がありません。クラウドセッションはリポジトリを選んで clone する形なので、この俯瞰ができません。
共通ルールとメモリが届かない
Claude への指示は3層に分けて書いています。
- 全プロジェクト共通のルール
- このワークスペース全体のルール
- リポジトリごとのルール
これに加えて、過去の失敗から学んだことを Claude のメモリに100件以上ためています。「E2E は passed の行だけでなく failed の行も見る」「本番の確認はキャッシュを避けて取る」といった、一度痛い目を見て書いたものばかりです。
クラウドの VM に届くのは、リポジトリの中にある3層目だけです。上の2層とメモリが無い Claude は、私の環境では来たばかりの新人と同じで、一度踏んだ失敗をもう一度踏みます。
Claude から別のツールを呼んでいる
このブログのサムネイルは、Claude が Google の AI エージェントである Antigravity に生成を頼んで作っています。判断が要るときの Slack への通知、アクセス解析の数字の読み取りも、Claude が手元のコマンドと認証情報を使ってやっています。
クラウドの VM には、どれもありません。
使い込むほど、手元から離れられなくなる
試してみて思ったのは、Claude Code を使い込むほど、価値が Claude 本体ではなくその周りに積み上がっていく、ということです。ルール、メモリ、ツールとの連携。毎日少しずつ足してきたものです。
クラウドセッションに持っていけるのは、素の Claude Code とリポジトリ1つだけです。素の Claude Code がリポジトリ1つで動く分には十分でしょう。ただ、私が頼りにしているのは素の Claude Code ではありませんでした。
向いている使い方
逆に言えば、次のような使い方ならクラウドセッションは便利だと思います。
- リポジトリ1つで完結し、秘密情報が要らない作業(リファクタリング、テストの追加、ドキュメントの整理)
- PC を持ち歩かず、スマホから作業を投げて、あとで結果を見る
- 手元に常時動かせるマシンが無い
VM には本番の認証情報が無いので、本番を壊す心配はほぼありません。できるのはブランチへの push までです。main ブランチを保護しておけば、任せきりにしても被害の範囲は限られます。
まとめ
クレジットは受け取るだけなら損はないので、私も受け取りました。ただ、ふだんの作業はこれまでどおり自宅の開発機で回します。
クラウドセッションは「手元の環境がない人のための Claude Code」で、手元の環境を作り込んだ人ほど出番が減る。私の場合はそういう結論になりました。