前回、「昔勉強した『夜は電気が余る』が、いつの間にか真逆になっていた話」という記事を書いた。太陽光の大量導入で、電気が余る時間帯は夜から昼に移った。だから洗濯や食洗機は晴れた昼に寄せるのが電力網への貢献になる、という話だった。

その理屈を信じて、平日の昼に洗濯機を回していたある日、ふとモニターを見たら自宅のパネルが300Wしか出ていなかった。曇りだった。晴れていればこの時期は1kW近く出るので、3割程度だ。冷蔵庫を動かしたらそれで終わる。

で、思った。こういう日も「昼が余っている」のだろうか。

自宅のパネルは、関東の太陽光の縮図

結論から書くと、余っていない。

自宅のパネルが定格の3割なら、同じ雲の下にある関東一円の太陽光もだいたい同じ落ち込み方をしている。一方で9月上旬の東京は、曇っていても蒸し暑ければ冷房が動く。平日なら工場もオフィスも通常運転だ。

つまり「太陽光が3割しか出ない」のに「需要はほぼ夏並み」で、その差を火力で埋めている。前回の記事で書いた「晴れた昼は太陽光を捨てている」状態とは正反対で、むしろ火力を焚き増している側にいる。

自宅のパネルの出力は、そのエリアの太陽光がどれくらい働いているかを示す、かなり素直な指標になる。

「昼が余る」には条件がある

前回の記事を読み返して、書き足りなかったと思ったのがここだ。昼に電気が余るのは、次の3つがそろったときだけだ。

  • 晴天 であること。太陽光がフルに近い出力で動いている
  • 春か秋 であること。冷暖房の需要が小さい
  • 休日 であること。工場・オフィスの需要が落ちている

東京電力エリアで初めて出力制御が実施されたのが2026年3月1日の日曜、11時から16時だったのは、この3つがきれいに重なった日だったからだ。

逆に言えば、曇りの日、真夏、平日、このどれか一つでも欠けると、昼の余剰はあっさり消える。「昼が余る」は年中の話ではなく、条件付きの現象だった。

じゃあ曇りの日はいつ使えばいいのか

今日のような日に「いい時間帯」を探すより、「避ける時間帯」で考えるほうが正確だ。

避けたいのは夕方17〜20時。これは晴れの日と変わらない。残っていた太陽光が完全に消えるのに、帰宅で照明・冷房・調理が一斉に立ち上がる。曇りの日は昼のうちから火力を焚いているので、夕方はその上にさらに積み増すことになる。

相対的にましなのは深夜から早朝、だいたい23時〜6時。曇りの日は昼が余っているわけではないので、昼と深夜を比べれば、需要が素直に少ない深夜のほうが火力の負担は軽い。曇りの日に限っては、昔勉強した「夜に使う」がそのまま正解に近い。

整理するとこうなる。

日の条件昼(9〜15時)夕方(17〜20時)深夜(23〜6時)
晴れた春秋の休日特に良い避けるまあまあ
曇り・夏・平日まあまあ避けるまあまあ

夕方を避ける、だけはどの日も共通だ。

昼の洗濯は無駄だったのか

300Wしか出ていない日に昼の洗濯をしていたのは無駄だったのか、と一瞬思ったが、そうでもない。

まず、比べる相手を間違えていた。「昼か深夜か」なら曇りの日はどちらも大差ないが、「昼か夕方か」なら夕方のほうが明確に悪い。仕事から帰って夕方に回すより、昼に回しておくほうがましなのは変わらない。

それから、300Wでも自家消費している分は、その分だけ系統から引く量が減っている。冷蔵庫を賄えているなら、洗濯機が使う電力のうち300W分は外から買っていない。規模は小さいが、方向としては正しい。

まとめ

前回の記事は「夜余る→昼余る、に逆転した」という話だった。それ自体は間違っていないが、逆転が成立するのは晴れた春秋の休日という条件つきで、曇りの日や真夏は昔の常識がまだ生きている。

自宅にパネルがあるなら、その出力を見るのが一番早い。定格に近く出ている日は昼に寄せる。3割しか出ていない日は昼にこだわらず、夕方だけ外す。それくらいの雑さで十分だと思う。

ちなみに、そもそもこの定格1.1kWのパネルをいくらで買ったかは別の記事に書いた。相場の倍だった。