自治体の子育て支援制度は、制度そのものよりも申請手続きのほうに負担を感じることが少なくありません。私自身、葛飾区の「子育て家庭等家事サポーター派遣事業」を利用していますが(11か月分の利用データはこちら)、まさにその典型でした。

この制度は、3歳未満の子どもがいる家庭に対して、家事代行サービスを無料で利用できる利用券が交付されるというものです。制度としては大変ありがたいのですが、券を使い切るたびに追加申請が必要になります。

そして、この追加申請が地味に手間でした。

  • 申請フォームが「新規」「妊婦向け」「追加分」の3種類あり、毎回どれだったか分からなくなる
  • 手元の利用券に記載された受付番号を探すところから始まる
  • 氏名・フリガナ・郵便番号・都道府県・市区町村・番地・電話番号・メールアドレス(確認用含む)・生年月日を毎回入力する
  • ひと通り入力して確認画面に進むと「入力の正しくない項目があります」と表示される

年に数回しか発生しない手続きですが、そのたびに30分近くかかっていました。正直なところ、券が切れていることに気づきながら、着手を数週間先延ばしにしたこともあります。

Claude Cowork に依頼してみる

そこで今回、Claude Cowork に依頼してみることにしました。最初に入力したのは、次の一文だけです。

葛飾区の子育て家事サポーターの利用券、追加分を申請しておいて

フォームのURLは指定していません。この点は期待通りで、「葛飾区 子育て家事サポーター」から制度を調べ、区の公式ページを経由して、3種類あるフォームのうち該当するものを特定してくれました。「どのフォームだったか」という最初の引っかかりは、この時点で解消されます

ただし、そこから先は普通に質問が返ってきました。

新規の申請でしょうか、それとも有効期限内の券の追加分でしょうか? 送信まで代行しますか、入力までにとどめますか?

追加分だと答えると、続けてこうなります。

申請者の氏名・フリガナ・住所・電話番号・生年月日を教えてください 手元の利用券の受付番号と、対象のお子さんの氏名もお願いします

当然といえば当然で、Cowork は私の住所も、手元の券の受付番号も知りません

ただ、誤解のないように書いておくと、この段階ですでに十分に楽です。体感で言えば従来の10分の1程度の負担になりました。

というのも、負担の大半は「入力する情報を思い出すこと」ではなく、あのフォームを操作すること にあったからです。3種類のフォームから正しいものを選び、都道府県をプルダウンから探し、指定された形式で各項目を埋め、確認画面でエラーを出されては戻る。この往復が苦痛でした。

チャットであれば、聞かれたことに順不同で答えるだけで済みます。入力形式もフォームの構造も気にする必要がありません。この時点で、私にとっては十分に「使える」水準でした

本題:前回の確認メールを渡すと、1アクションで完結する

とはいえ、質問と回答のやりとりは数往復発生します。これを 1アクションに圧縮できる方法 があります。

途中から方針を変え、前回申請したときの確認メールをそのまま貼り付けました。結果として、それ以降の質問は一つもありませんでした。

この制度では、申請を送信すると区から自動返信メールが届きます。そしてこのメールには、送信した内容が すべて記載されています

フォーム名: 【利用券追加分】子育て家庭等家事サポーター派遣事業利用券追加申請フォーム
受付番号: SJ00xxxxxx

▼ Q1. 世帯区分を選択してください。
多胎児世帯以外

▼ Q2. 現在お持ちの利用券の受付番号及び…
1人目; 受付番号:0x-xxxx
1人目; 対象の妊婦または3歳未満お子さんの氏名:○○ ○○○○

▼ Q3. 申請者情報
氏名: ○○ ○○○
住所: xxx-xxxx 東京都 葛飾区 …
電話番号: 090xxxxxxxx
メールアドレス: xxxx@example.com
生年月日: 19xx-xx-xx

▼ Q4. 送付希望する利用券の時間数を…
20時間分

つまりこのメールは、次回の申請書そのもの として機能します。世帯区分、利用券の受付番号、対象の子どもの氏名、申請者情報、希望時間数まで、必要な項目がすべて揃っています。人間にとっては単なる送信通知ですが、AIにとっては完成された入力データです。

したがって、次回以降は最初からこれを渡せばよい ということになります。

家事サポーター券の追加申請、前回と同じ内容で出しておいて

(続けて区からの確認メールを貼り付ける)

これで完了します。住所を尋ねられることも、子どもの氏名を確認されることも、送信前に判断を求められることもありません。メールに記載された内容を、メールに記載されたフォームへ、記載されたとおりに入力して送信するだけなので、そもそも確認すべき論点が残らないためです。

実際の体感としては「申請した」というより「申請が完了したことを報告された」に近く、返ってくるのは受付番号だけでした。

申請完了しました。受付番号:SJ00xxxxxx
約2週間で郵送されます。

導入して良かった点

手続きを思い出すコストがなくなりました。券が残り少ないことにさえ気づけば、あとは該当メールを探して貼るだけです。「どのフォームだったか」「受付番号はどこに書いてあったか」を考える必要がありません。この「考えなくてよい」という点が、想像していた以上に効きました。

入力ミスがなくなりました。郵便番号や電話番号を毎回手入力していると、一定の確率で誤りが生じます。メールからの転記であれば、前回と完全に同じ内容が入ります。

気力を消費しません。育児中に使える気力は有限で、行政手続きのようなタスクは、難易度が低いわりに気力を消耗させます。これを外部化できることが、最も大きな効果だと感じています。

利用にあたっての留意点

  • 確認メールは削除しないでください。これが次回の申請書であり、実質的なデータベースになります。専用のラベルやフォルダを用意しておくと確実です。
  • 公開する際は必ずマスクしてください。本記事の例も、受付番号・氏名・住所・電話番号を伏せています。当該メールは個人情報の集合体です。
  • 送信前に自分でも確認したい場合は、その旨を一言添えてください。「送信前に内容を見せて」と伝えれば確認画面で止まります。裏を返せば、指定しなければ止まりません。ここは好みが分かれる部分だと思います。
  • 子どもが3歳の誕生日を迎えて券の有効期限が切れた場合は、追加分ではなく「3歳未満児養育世帯向け」フォームに変わります。制度側の分岐なので、切り替わるタイミングだけは把握しておくと安心です。

まとめ

行政手続きには、難易度が低いわりに摩擦が大きいという独特の負担があります。フォーム自体は簡単でも、そこへたどり着くまでの道のりが長い、という構造です。

ここにAIを挟むだけでも、「制度を思い出す」「フォームを探す」「指定された形式で入力する」という工程がまとめて省略され、負担は大きく下がります。そのうえで、自動返信メールのような 前回の記録が残っている手続きとは特に相性が良く、その記録を渡せば、やりとりすら発生せずに申請が完結します。

助成金の申請、保育園関連の書類、各種更新手続きなど、同じ方法が使える場面は多いはずです。手元に前回の控えが残っている手続きであれば、基本的にこの方法で対応できます

家事の負担を減らすために利用している制度の、その申請作業自体の負担も減らせた、という話でした。