前回の記事で、DELL U3223QEの点滅がファームウェア更新でも直らず、内蔵セルフテストでモニター本体の故障が確定した、というところまで書きました。
その後、実際に買い替えて、古いほうの廃棄手続きまで終わりました。全部まとめておきます。先に結論を書くと、選定より廃棄のほうが大変でした。
要件を決める
まず条件を整理しました。
- 31.5型 4K(3840×2160)
- USB-C(またはThunderbolt)で映像入力と給電
- 色が正しく出ること
3つ目が今回の肝です。私は色の辞典サイトを運用していて、そのページはsRGBとDisplay P3を並べて比較表示する作りになっています。モニターが広色域に対応していないと、私が作ったページの検証すらできません。
なので、DCI-P3/Display P3を95%以上カバーしていて、工場出荷時にキャリブレーションされていてΔE 2以下が明示されている機種、という条件を追加しました。
なお、測色器(画面の色を実測してプロファイルを作るセンサー)は買わない前提です。となると出荷時の色精度が、そのまま数年間の基準になります。
候補を絞る
最初はコスパの良い国産メーカーも見ました。31.5型4KでUSB-C 90W給電、しかも5年保証という機種があって、実売6万円台。条件だけ見れば理想的です。
ただ第三者の実測レビューを見ると、コントラスト比の実測が1269:1、色味のズレが4.6dEという結果でした。プロ用途には向かない、という評価です。今まで使っていたU3223QEがΔE 2未満で出荷される機種だったので、これは明確な後退になります。色の正確さを条件に挙げた以上、ここは妥協できませんでした。
最終的に残ったのが2機種です。
BenQ PD3225U:31.5型4K、DCI-P3/Display P3 98%、ΔE 2以下、工場出荷時に個別キャリブレーション+レポート同梱。ムラ補正あり。MacのICCプロファイルと自動同期する機能あり。
Dell U3225QE:31.5型4K、DCI-P3 99% / Display P3 99%、平均ΔE 1.5未満、IPS Blackでコントラスト3000:1、Thunderbolt 4で140W給電。
調べていて気づいたのですが、Display P3のカバー率を独立した項目として数値公称しているメーカーは、ほとんどありません。多くはDCI-P3のみの表記で、この2つは別の色空間です。今回調べた範囲で両方を分けて公称していたのはDellだけでした。
保証の落とし穴
ここで一番学びがありました。
当初は「5年保証があるほうが安心」と考えていました。3年で壊れる使い方をしている自覚があるので、保証期間は長いほどいいはずだと。
ところが保証規定の本文を読むと、話が違いました。
BenQの保証規定には、経年変化や過度な連続稼働によるハードウェアの性能低下、画面の焼き付き、液晶パネルの画質低下は保証の範囲外である、という趣旨の記載があります。しかもバックライトは「有寿命部品」に分類されていて、保証期間内であっても有償交換になる場合があると明記されています。
つまり「3年保証(パネル・バックライト含む)」というのは、部品が対象リストに入っているという意味であって、経年劣化がカバーされるという意味ではないわけです。私が想定している故障モードは、ほぼそのまま除外条項に該当します。
Dell側も似た事情があります。サポート技術情報に、LCDパネルのデューティサイクルは1日12時間・週7日で設計されていること、バックライトの輝度寿命は30,000時間であること、そして設計を超える使用では輝度低下が早まり保証の対象外になる場合があること、が書かれています。
要するに、どちらを選んでも「長時間使い倒した末の劣化」は保証の外です。
もうひとつ、Dellはモニターの保証を4年5年に延長する手段自体がありません。延長保証サービスはPC向けで、モニターは対象外と公式に明記されています。販売店経由という手も考えましたが、この機種は量販店が扱っておらず、直販が最安。延長保証を付けられる店が存在しませんでした。
なので、5年保証という発想そのものを捨てました。3年で買い替える前提に切り替えると、判断はシンプルになります。
価格で決着
- BenQ PD3225U:¥160,345(+販売店の5年延長保証 ¥8,017)
- Dell U3225QE:¥134,799(Dell直販、送料込み)
2万5千円以上、Dellが安い。しかも色の数値は上。
決め手になったのは価格差だけではありません。Dellにはプレミアムパネル交換が付いていて、保証期間の3年間、輝点が1つでも見つかれば無償でモニターごと交換されます。BenQ側のドット抜け保証は購入から1か月です。しかもDellは先出し交換なので、交換機が先に届いてから故障品を返送する形になります。
ここは正直、感情としては引っかかりました。3年で壊れたのがDellだったので。ただ、壊れた原因は設計想定を超える使い方をしたことにあって、メーカーを変えても同じ時期に何かは出ます。それなら安くて色が良くて交換対応が手厚いほうを選ぶのが合理的だ、という結論になりました。
買った。速かった
夕方に注文して、翌日の午前中に届きました。
国内在庫から出たのだと思いますが、これは想定外でした。業務で使う機材を落として、すぐ復旧させたいという場面では、この納期は大きな価値があります。「Dellはもう懲り懲り」と言っていた私ですが、ここは素直に評価が上がりました。
前の機種との違い
同じUltraSharpの32型4Kという同じポジションの後継機なので、乗り換えコストはほぼゼロでした。OSDの構成も、Dell Display and Peripheral Manager(DDPM)も、そのまま使えます。前回の記事で作り込んだEasy Arrangeのレイアウトも引き継げました。
良くなった点
- コントラスト比が2000:1から3000:1へ。IPS Blackの世代が上がっていて、黒の締まりが違います
- Display P3のカバー率が99%になり、しかも公称値が明示された
- 環境光センサーが付いて、周囲の明るさに応じて自動調整される
- リフレッシュレート120Hz、Thunderbolt 4で140W給電、2.5GbEのLAN
後退した点
- キャリブレーションレポートが同梱されなくなりました。前の機種には付いていたものです。測色器を買わない身としては、出荷時の精度を確認する手段が減ったことになります
給電140Wと2.5GbEについては、私の場合はMacBook Airをシンクライアント的に使う方向なので、正直持て余しています。ここに価値を感じる人は限られるかもしれません。
そして廃棄でハマる
ここからが本題です。
古いモニターは売り物にならない状態なので、廃棄することにしました。Dellは個人向けにパソコン・モニターの無料回収をやっているので、簡単だろうと思っていました。
Dellの日本語リサイクルページが、軒並み機能していませんでした。
2026年8月13日時点で確認した状況です。
- 日本語のリサイクルFAQ → グローバルの翻訳ページへリダイレクト。中身が消滅
- 個人向け申し込みページ → 同上。申し込み機能なし
- 業界団体(パソコン3R推進協会)が公式に掲載しているDellの窓口URL → これも同じ死んだページを指している
- 生きている日本語案内ページには、個人向けの申し込み導線が存在しない(企業向けにはある)
リダイレクト先のページは公開日が2026年8月7日、更新が8月12日。差し替わったのはほんの数日前です。サイト移行の事故だと思います。
検索エンジンは正しいページを返してくるのに、開くと中身が別物になっている。しかも業界団体の窓口一覧という、最も信頼できるはずの情報源まで同じURLを指している。これは自力ではかなり厳しい詰み方です。
正しい入口
Dellは個人向け回収を自社では受け付けていません。一般社団法人パソコン3R推進協会内の「パソコンリサイクル受付センター」に委託していて、ここはEIZOやASUS、LG、ソニーなど36社が共用する窓口です。だからDellのサイトを掘っても申し込みフォームは出てきません。
正しい入口はこちらです。
https://www.pc3rsupport.jp/home/pc_recycle_01.html?m_cd=J17
URLの末尾にある m_cd=J17 がDell指定のメーカーコードです。ここからでないとDell製品として受け付けられません。365日24時間受付。
電話は 044-540-0576(平日10:00〜17:00)。メールでの申し込みはできません。
申し込みで迷うところ
PCリサイクルマークの選択が、料金を決めます。
私のモニターは初期不良で交換した個体なので、マークが貼られていない可能性がありました。しかし申し込みページには、2003年10月以降に個人で購入した製品はマークの有無にかかわらず無償で、マークが無い場合でも「あり」を選択せよと明記されています。
ここで「なし」を選ぶと3,300円請求されます。罠っぽいですが、公式にそう書いてあります。
型式名は自由入力なので、選択肢に機種が無くて困るということはありませんでした。製造番号の欄にはサービスタグを入れます。
費用と日数
- 回収再資源化料金:0円
- 輸送料:0円
- 合計:0円
申し込みから伝票到着まで10日前後、全体でおおむね2週間です。Dellの旧FAQには「最短3日」とありましたが、そのページはもう見られません。現行の受付センターの表記は10日前後なので、そちらが正です。
梱包の注意点
- 緩衝材は入れない。発泡スチロールなどは不要と明示されています
- 段ボール箱か、厚手のビニール袋2枚重ね。無梱包は不可
- 重量30kgまで、3辺合計1.7m以内
- 電源ケーブルやDPケーブルなど、出荷時の標準添付品は同梱してOK。スタンドも入れて構いません
- 取扱説明書やCD-ROM、別売の周辺機器は同梱不可
- 送られてくるエコゆうパック伝票以外の伝票は使えません。他社の宅配便で送ると引き取り不可で、自己負担で返送されます
- 郵便局への持ち込みか戸口集荷。コンビニでは受け付けません
- 伝票の発行日から30日以内に出すこと
私は新しいモニターが入っていた箱をそのまま使いました。同じ32型の箱なので、サイズも重量も条件内に収まります。新しいモニターの箱は、廃棄が終わるまで取っておくのが正解です。
自治体では出せません
念のため書いておくと、モニターは自治体の粗大ごみでも小型家電回収ボックスでも出せません。資源有効利用促進法でメーカー回収が義務づけられている品目なので、区市町村では受け付けられない決まりです。私の住む区の公式サイトにも明記されていました。
まとめ
長い記事になりましたが、要点はこのあたりです。
選定について
- 「5年保証」に惹かれる前に、保証規定の本文を読む。経年劣化や長時間連続稼働が除外されているケースが普通にある
- 長時間使う人にとって、保証年数はあまり当てにならない。買い替えサイクルを前提に、価格で選ぶほうが健全
- ドット抜け対応の手厚さは、保証年数より実利がある場合がある
- 色を扱うなら、DCI-P3とDisplay P3は別物であることに注意。Display P3を単独公称しているメーカーは少ない
廃棄について
- Dell製モニターの個人廃棄は無料。ただし窓口はDellではなく、パソコン3R推進協会の共用センター
- 2026年8月現在、Dellの日本語リサイクルページからは申し込めない。上記のURLを直接叩くこと
- PCリサイクルマークが無くても「あり」を選ぶ
- 新しいモニターの箱は捨てずに取っておく
前回の記事から続けて言えることとして、壊れてから慌てるより、壊れる前に手順を知っておくほうが圧倒的に楽でした。特に廃棄は、公式サイトが機能していないという想定外の障害があって、事前に調べていなければ相当な時間を溶かしていたと思います。
次に壊れるのは、また3年後でしょうか。そのときはこの記事を読み返します。