8月。車に戻ってドアを開けた瞬間の、あの熱の壁みたいなやつ。

温度計を見たら40℃を超えていた。そこで思い出した。MacBook、置きっぱなしだ。

何を置いていたか

夏は荷物を持ち歩きたくない。暑いのに肩からカバンを提げて歩くのが嫌で、だいたいのものを車に置いておく運用にしていた。その日に車内にあったのは、こんな顔ぶれだった。

  • MacBook
  • モバイルバッテリー
  • 携帯扇風機
  • 薬(市販の常備薬)
  • 口臭ケアタブレット

改めて並べると、ほぼ全部が「車に置いてはいけないもの」だった。

車内は実際どのくらい暑いのか

40℃というのは、あくまで室内の空気の温度だ。実際にはもっと厳しい。

直射日光が当たるダッシュボードの上は70℃を超えることがある。シートの表面もかなり熱くなる。一方で、ラゲッジの床面付近は相対的にマシで、それでも50℃前後にはなる。

つまり「車内が40℃だった」と言っても、置いた場所によって実際に受けた熱はまるで違う。

やったこと

慌てて電源を入れないこと。これが一番大事だと後で知った。高温状態のまま通電させるのがいちばんリスクが高い。

やったのは以下の3つ。

  1. 電源を入れず、充電もせず、そのまま室内に持ち込む
  2. 常温の場所に数時間置いて自然に冷ます
  3. 完全に室温に戻ってから起動する

冷蔵庫やエアコンの風で急冷したくなるが、これはやってはいけない。結露して内部の基板がやられる。高温そのものより結露のほうが即死性が高い。

結果

MacBook — 無事だった

Appleの公式スペックでは、MacBookの保管温度(電源オフ時)は-25〜45℃とされている。45℃は超えていた可能性が高い。

冷めてから確認したのは次の点。

  • 底面がガタつかないか(平らな机に置いてぐらつかないか)
  • トラックパッドのクリック感がおかしくないか
  • 画面と筐体のあいだに隙間ができていないか
  • 焦げたような、あるいは薬品のような匂いがしないか

これらはすべてバッテリーが膨張したサインになる。結果としてはどれも該当せず、普通に起動して普通に動いた。

ただし「壊れなかった」のと「無傷」は別だ。リチウムイオン電池は高温にさらされると劣化が一段進む。目に見えないところで最大容量が削れている。今回はセーフだったが、繰り返せば確実に寿命は縮む。

モバイルバッテリーと携帯扇風機 — 無事だった

本音を言うと、MacBookよりこちらのほうが心配だった。本体に組み込まれたバッテリーと違って、単体のモバイルバッテリーは保護回路が簡素なぶんリスクが高い。

確認したのは、外装の膨らみ、継ぎ目の開き、甘いような異臭、使っていないのに温かくないか。どれも問題なし。携帯扇風機も回してみて異音・異臭なし。

もし膨らんでいたら、そこで終了だった。膨張したリチウムイオン電池は、穴を開けたり圧をかけたりすると発火する。家庭ごみに出すのも厳禁で、JBRCの回収ボックス(家電量販店やホームセンターにある)に持ち込むことになる。

薬 — ダメだった

これが今回いちばんの被害。溶けていた。

多くの医薬品は保存条件が「室温(1〜30℃)」または「冷所」になっている。50℃以上に何時間もさらされれば、当然無事では済まない。

厄介なのは、溶けるほどはっきり変質してくれるのはまだ親切なほうだということだ。見た目に何の変化もなくても、有効成分が分解して効きが落ちているケースがある。飲めてしまうぶん、そちらのほうがたちが悪い。

処方薬だったら、次の受診時に「車内で高温にさらした」と伝えて相談するのが正解。今回は市販薬だったので、素直に買い直した。

口臭ケアタブレット — 判定不能

ボトルの中で塊になっていた。溶けて再固化したやつだ。健康被害の心配はないが、使う気にはならない。捨てた。

結局どうすればいいのか

全部持ち歩くのは夏こそ嫌だ、という前提は変えたくない。なので、置けるものと置けないものを分けることにした。

車に置きっぱなしでいいもの

工具、傘、レジャー用品、着替え、タオル、洗車用品、レジャーシート、紙類。このあたりは車載セットとして固定してしまう。

必ず持ち歩くもの

リチウムイオン電池が入っているもの全部(モバイルバッテリー、ノートPC、イヤホン、携帯扇風機)、薬、化粧品、日焼け止め。

このうち日常的に必要なのは、モバイルバッテリーとイヤホンと薬くらいだ。小さいポーチひとつにまとめればサコッシュに収まる。数百グラムなので、夏の負担としては許容範囲だった。

このほか、スプレー缶、カセットボンベ、ライター、炭酸飲料は破裂の危険があるので論外。開封済みのペットボトル飲料も菌が増えるので置いておかないほうがいい。

車内温度そのものを下げる方法

置きっぱなしにする荷物のためにも、車内温度は下げておきたい。手段ごとの効き目には、かなりの差がある。

手段効果
日陰・立体駐車場に停める最大。他の全部より効く
フロントにサンシェード大。室内全体で10℃前後違う
窓を1〜2cm開ける中。5〜10℃程度
断熱ボックス・保冷バッグ中。ただし後述
ソーラー換気ファンほぼ効かない。風量が足りない

ソーラーファンは見た目のわりに効果が薄い。お金をかけるなら、サンシェードと駐車場所の選択のほうが圧倒的に費用対効果が高い。

保冷バッグにも落とし穴がある。断熱容器は温度を下げるのではなく、外気温に追いつくまでの時間を延ばしているだけだ。数時間なら有効でも、朝から夕方まで置けば結局中まで熱が入る。

そして保冷剤を入れると結露する。電子機器にとってはこれが最悪で、通電した瞬間にショートする。どうしても電子機器を入れるなら、保冷剤なし + シリカゲルの乾燥剤という組み合わせにする。

まとめ

今回は運が良かった。機器は全部生き残って、失ったのは薬とタブレットだけで済んだ。

ただ、無事だったのはたまたまだ。バッテリーの内部では確実に劣化が進んでいるはずで、これを何度も繰り返せばどこかで当たりを引く。

夏の車内は、想像している1.5倍は暑い。そう思っておくとちょうどいい。