今、この記事を読んでいるあなたは、仕事中に響く家族の声に神経をすり減らし、減らないタスクと休まらない週末に絶望しているかもしれません。
これは、そんな限界ギリギリの毎日を1年3ヶ月耐え抜き、家事全般を引き受けることと引き換えに「天国」を手に入れた、あるフルリモート夫の記録です

崩壊した「仕事と家庭の境界線」

妻が産休・育休に入ってからの1年3ヶ月。私にとって、それは仕事と家庭の境界線が完全に崩壊した過酷な日々でした。
家に妻と息子がいる。それは幸せなことのようでいて、フルリモートで働く人間にとっては、常に神経をすり減らす環境でもあります。限界を迎えた妻からのヘルプ、そして直接脳髄に響くような息子の泣き声。
仕事中であっても名前を呼ばれれば集中力は途切れるし、自分の大切な息子が泣いている声が聞こえれば気になって当然です。「極力呼ばないように」という妻の配慮は痛いほど理解しています。それでも、大惨事が起きれば声がかかるし、大惨事なら私も助けたい。融通が利く働き方をしている以上、私が動くしかない状況でした。

しかし、妻に任せて仕事を続行したところで、耳に入る音声だけで凄まじいストレスが蓄積していきます。どれだけ手伝っても、私の仕事量が減るわけではないからです

フルリモート特有の「チャットでのやり取りが中心で、家で何をしているのか(ただ遊んでいるように)見えにくい」という問題もありました。辛さを訴える妻の気持ちも非常に理解できます。だからこそ、ここはお互いを完全に理解し合うことは不可能に近い状態でした。

たまの休みに息子のイベントを入れたり、三連休には妻の要望で(夫としては何かと肩身の狭い)妻の実家に連泊したりと、平日は育児と仕事、土日は家族サービス。休まる日は一日もありませんでした。内心「仕事しながらこれをやるのがどれだけ大変かわかっているのか?」と思うほど、追い詰められていました。

保育園入園と突きつけられた「過酷な家事分担」

そんな1年3ヶ月をどうにか乗り越え、ついに息子が保育園に入り、妻も仕事に復帰することになりました。

当然、妻からは様々な要求が来ます。提示された新しい家事分担がこれです。

  • 夫(私)のタスク: 保育園の送り迎え、妻と息子の夕食作り、洗い物、洗濯物、ゴミ出し、夜のご飯あげ、お風呂入れ
  • 妻のタスク: 朝食作りと朝のご飯あげ、風呂掃除

通勤時間がないんだから、やって当たり前

そう言われれば反論はできませんが、どう見ても私の負担が凄まじいことになっています。しかし、私の妻はそこまでキャパシティが多くありません。もうこれは仕方がありません。私が酒でも飲んで、ただひたすらに耐え忍べばいいのだと覚悟を決めました。

激増した負担。しかし、そこは「天国」だった

しかし、実際にこの生活が始まって、私は驚愕しました。
タスク量は激増しているはずなのに、信じられないくらい幸福度が高かったのです。

その最大の理由は、極めてシンプルでした。

  • 仕事中に名前を呼ばれ、集中力を切らされることがなくなった
  • 仕事中に息子の泣き声が、ダイレクトに脳を揺さぶらなくなった

これです。たったこれだけのことがなくなるだけで、私の人生は劇的に好転しました。まるで天国にいるかのような気分でした。

どんなに物理的な家事タスク(料理、洗濯、送迎、風呂…)が山積みになろうとも、「自分の集中と領域が、予測不可能なタイミングで破壊される精神的ストレス」に比べれば、 全く大したことはありませんでした

手に入れた「無敵のメンタル」と平穏な週末

さらに、私の幸福度を跳ね上げている要因がもう2つあります。

一つは、妻が復職して土日に疲弊しているため、無理なイベントが一切入らなくなったことです。以前のように、平日に限界まで働いた上で週末にお出かけで体力を削られることがなくなり、結果的に「私の土日」が圧倒的に楽になりました。

そしてもう一つ。それは「この1年3ヶ月で、私のストレス耐性がとんでもなく向上していた」という事実です。

これだけの膨大な家事を押し付けられても、不思議なほど「なんとも感じない」のです。いつ終わるかわからない泣き声や、突発的なタスクの割り込みによる精神的疲労に耐え続けたあの日々に比べれば、手順が決まっている家事など、ただの作業に過ぎません。あの過酷な期間は、知らず知らずのうちに私に無敵のメンタルを植え付けていたのです。

限界を迎えている同胞たちへ

もし今、妻のキャパシティが少なく、自宅で育児の音や声に割り込まれながらフルリモートで働いている同胞がいるなら、強く伝えたいことがあります。

物理的な家事を全引き受けしてでも、仕事の時間を完全に切り離せる環境(保育園など)を整えた方がいい

と。
家事の負担が何倍になっても、仕事の集中が100%守られ、週末の平穏が確保されるなら、フルリモートワーカーにとってそこは間違いなく「天国」になります。今あなたが感じているその絶望的なストレスは、環境さえ切り離せれば、必ず終わります。