M3 MacBook Air(メモリ24GB / ストレージ512GB)をメインの開発機として導入してから約2年。ローカルでClaude CodeやGemini CLIなどのAIエージェントを並行稼働させ、Dockerを回し、Rustで開発を行うというハードな使い方をしていると、どうしても直面する問題があります。「ストレージ不足」です。

ふとMacのシステム設定からストレージを確認すると、空き容量が100GBギリギリに。しかも、内訳を見ると**「システムデータ」が185GB、「書類」が100GB以上**という異常な状態になっていました。

「やっぱりケチらずに1TBモデル(+3万円)を買っておくべきだったか……?」

そんな後悔が頭をよぎりましたが、私のエンジニアとしての基本方針は**「推測するな、計測せよ」**です。GUIの曖昧なプログレスバーを眺めていても埒が明きません。CLIツールを使ってストレージの深淵を実測し、無駄な「垢」を削ぎ落としていった結果、最終的に空き容量を227GBまで回復させることに成功しました。

今回は、Macのストレージを無駄に食いつぶす「真犯人」の特定方法と、安全かつ劇的なクリーンアップの手順を共有します。

GUIの「ストレージ管理」は嘘をつく

Macの システム設定 > 一般 > ストレージ で表示されるカラフルなバー。実はこれ、開発者の環境においては全くアテにならないのです。

  • 書類 (Documents): ~/Documents だけではなく、ホームディレクトリ直下の隠しフォルダ(.gemini.rustup など)やダウンロードフォルダもすべてここに合算されます。
  • システムデータ: これが最大の罠。「OSのシステムファイル」ではなく、単にAppleが「アプリ・写真・書類のどれにも分類できなかったファイルのゴミ箱」に過ぎません。

185GBのシステムデータの正体を突き止めるため、ターミナルを開きました。

ncdu でディスクを「計測」する

何が容量を食っているのかを特定するために、強力なCUIディスク容量計測ツール ncdu を導入しました。

brew install ncdu

まずはホームディレクトリを計測します。

ncdu ~

さらに、ホームディレクトリ外に潜むシステム全体の真犯人を炙り出すための「完全スキャン」を実行しました。

sudo ncdu -x /

この実測によって、185GBの「システムデータ」と100GBの「書類」を構成している真犯人たちが次々と判明しました。

真犯人①:Docker Desktopの「120GBの空気」

システムデータを圧迫していた最大の原因は、Docker Desktopの仮想ディスクファイル(Docker.raw)でした。

ls -lh ~/Library/Containers/com.docker.docker/Data/vms/0/data/Docker.raw
# -> 120G

docker system prune で不要なイメージやコンテナを削除しても、Mac上に確保されたこの仮想ディスクの「入れ物」自体は自動で縮小(シュリンク)されません。つまり、中身が何もない120GBの空気がシステムデータとして鎮座していたのです。

【解決策】

Dockerを完全に終了させた後、この120GBのファイルを rm で容赦無く削除します。その後Dockerを再起動すると、クリーンな状態で再生成されます。再発防止のため、Dockerの設定(Resources > Virtual disk)から上限を40〜60GB程度に制限しておきました。

真犯人②:Rustの target ディレクトリ(40GB)

「書類」カテゴリを肥大化させていたのは、Rustプロジェクトのビルドアーティファクトでした。たった1つのプロジェクトの target ディレクトリが40GB近くまで膨れ上がっていました。

【解決策】

これも手動で探して消すのは非効率なので、cargo-sweep を使って「30日以上触っていないプロジェクトのビルド残骸」だけを一掃しました。

cargo install cargo-sweep
cargo sweep --time 30 ~/dev

真犯人③:ブラウザとAIツールの残骸

Arcブラウザをアンインストールしたにも関わらず、~/Library/CachesApplication Support に10GB以上のオーファンデータ(残骸)が残っていました。また、ローカルで酷使しているClaude Desktopアプリのキャッシュも10GBを超えていました。

【解決策】

使っていないアプリのキャッシュディレクトリを rm -rf で吹き飛ばします。

結論:1TBへのアップグレードは「怠惰への課金」だった

徹底的なパージとデトックスを行った結果、最終的に**空き容量は227.33GB(使用済み 267.05GB)**まで回復しました。512GBのストレージのうち、半分近くが空いている非常に健全な状態です。

もしあの時、「容量が足りないから」と推測だけで1TBのMacに買い替えていたり、最初から1TBモデルに3万円の追加コストを払っていたとしたら、それは単なる**「メンテナンスをサボるための保険料(怠惰への課金)」**になっていたでしょう。

定期的に ncdu で実測し、Dockerの仮想ディスク上限を管理し、Rustのキャッシュを掃除する。この運用さえ回していれば、ヘビーな開発環境であっても512GBで十分に戦えます。

Macのストレージ不足に悩んでいる方は、無駄な出費をする前に、まずはターミナルを開いて sudo ncdu -x / を叩いてみてください。そこにはきっと、数十GB単位の「見えないゴミ」が転がっているはずです。