東京は特別な才能がある人しか住めない場所だ。地方の田舎町にいた頃、私は本気でそう思っていました。
テレビをつければ流れてくるのは東京の話題ばかり。流行も事件も、すべて東京発。それに比べて、自分の周りには何もない。
その私が仕事を求めて上京し、10年以上が経ちました。
いまは「もう田舎には戻らない」と決めています。理由は空気でも家賃でもなく、選択肢の数 です。
上京してすぐに感じたこと
社会人になってから上京しましたが、最初から順調だったわけではありません。仕事を辞めて出てきて、生活が安定するまでに2年ほどかかりました。それでも、その苦労を上書きするだけの驚きがありました。
街を歩く人が洗練されて見えた
初めて東京に来たとき、スクランブル交差点ですれ違う人が全員、モデルか芸能人のように見えました。地方では見かけないファッションと、自信のある歩き方。テレビで見ていた場所を自分が歩いていることに、それだけで感動していました。
若い人が街にいる
いちばん驚いたのは、単純に若者がいることでした。
地方の商店街や住宅地を思い出すと、歩いているのは高齢の方が中心です。東京はどこへ行っても若い人がいて、街に活気がある。これがいちばん大きなカルチャーショックでした。
生活インフラが整っている
電車は数分おきに来て、コンビニは数メートルおきにあり、深夜でも街が明るい。この完成度は、生活のストレスをかなり減らしてくれます。
憧れの街が「近所」になる
数年も住めば人は慣れます。
最初は輝いて見えた渋谷、新宿、秋葉原、池袋も、いまでは乗り換えの駅です。テレビで話題になっていても、「ああ、あの角の店か」くらいの感覚で、日常の一部になりました。
東京に住んでいること自体が特別だ、という感覚は薄れます。
では、特別でなくなったら田舎に帰りたくなるかというと、そうはなりませんでした。
戻らないと決めている理由
田舎の空気は綺麗です。地価も安く、家も広い。それでも戻らないのは、東京にいると 選べる からです。
仕事を失っても次がある
地方にいた頃、「仕事がない」は生活に直結する問題でした。選べる職種も限られていました。
東京にはあらゆる産業が集まっています。いまの会社がなくなっても次がある、という事実は、そのまま精神的な安定につながっています。
リモートワークの時代だからこそ
リモートワークができるなら地方移住でもいいのでは、という考え方もあります。私はむしろ逆だと思っています。
東京にいれば、フルリモートも、週1出社も、対面で人に会って関係を作ることも選べます。東京にいながらリモートで働く のと、地方でリモートしか選べない のとでは、取れる手の数が違います。
まとめ
改めて田舎暮らしを想像してみても、帰るという選択肢は浮かびませんでした。選べることが少ない状態に戻るのが、私にはきついのだと思います。
もっとも、最初から東京で生まれ育った人なら、まったく違う感覚を持つでしょう。田舎の自然や不便さを贅沢だと感じるかもしれません。都内で生まれた息子が大きくなったとき、田舎に行きたいと言うのかどうか。それはまた別の機会に書いてみたいと思います。
いま地方で「ここには何もない」と感じていて、それでも東京は怖いとためらっているなら。
住めば都というのは本当でした。少なくとも私にとって東京は、人生の選択肢を確実に増やしてくれた場所です。