Apple Pencil は絵を描く人のための道具だと思っていました。
実際に買ってみて、私にとっていちばん価値があったのは描画機能ではなく、家から紙とペンを減らせたこと でした。約2万円という値段を、ペン1本の値段ではなく「文房具の管理をやめるための費用」として考えたとき、納得がいきました。

紙とペンは、思っているより場所と手間を取る

アナログの紙とペンには、それなりにコストがあります。

  • 書き損じや不要になったメモを捨てる手間がかかる
  • ノートやメモ帳、ペンの置き場所を確保しなければならない
  • 後から「あのメモどこだっけ」と探すことになる
  • 持ち歩かないと中身を見られない
  • 長く置いておくと劣化する

たまにしか書かないから紙とペンで十分、という考え方もあります。私もそう思っていました。
ただ、たまにしか使わないのに家の一角を占領していて、いざ書こうとするとインクが出なかったり、メモ帳が見当たらなかったりする。その頻度と手間が、だんだん気になるようになりました。

それでも「手書き」を捨てられなかった

では全部フリック入力やキーボードでいいかというと、そうはなりませんでした。清書ならデジタル入力のほうが確実に速いのですが、手書きでないと進まない思考 があります。

  • 図や矢印を使って関係を整理したいとき
  • まだ形になっていないイメージをラフに書き留めたいとき
  • とりあえず書き殴って頭を整理したいとき

こういう場面では、キーボードは思考のスピードにも自由度にも追いつきません。
だから紙とペンを手放せずにいた、というのが正直なところです。

2万円で手に入ったもの

Apple Pencil を導入して変わったのは、次の3点です。

家の文房具が減った

ボールペン、サインペン、メモ帳、裏紙、ノート。これらをまとめて処分できました。机の上からペン立てが消え、引き出しの文房具ストックも不要になりました。

「捨てるか迷う」時間がなくなった

紙のメモには、いま必要だけれど来月はいらないかもしれない、という微妙なものが混ざります。判断を先送りしているうちに、薄汚れた紙の山ができる。
デジタルなら、とりあえず書いて残しておけば済みます。捨てるかどうかを判断する作業自体が消える のが、思っていた以上に楽でした。

持ち歩かなくてよくなった

紙のノートは、それ自体を持ち歩かないと中身を見られません。iPad に書いた内容は iCloud で同期されるので、外出先の iPhone からでも Mac からでも開けます。「メモを家に忘れた」という状況がなくなりました。

向き不向きはある

絵を描かないから Apple Pencil は不要、という判断は、手書きのメモを一切取らない人には正しいと思います。
一方で、私のように「デジタルに寄せたいのに手書きだけ捨てられない」という状態なら、これは描画用の道具ではなく、文房具を減らすための道具として検討する価値があります。

ちなみに私は、役所の手続きなど、どうしても物理的なペンが要る場面のために、ボールペンを2本だけ残してあります。ゼロにはしませんでした。